つくしんぼ通信令和8年4月号
死を語ること、死に備えることはタブーではありません
どうしても回復不能になった時、苦痛を取り除きながら自然経過に任せるか、徹底的に延命するかをかりつけ医に伝えておくといいです
希望はいつでも変更できます
わたしたちすべての人が必ず死を迎えます。すでに回復の見込みがなく口からの摂食もできず、体も自力では動かせず、場合によっては意識もなく、それでも命を長らえるためいわゆるスパゲッティ症候群と言われる栄養と排泄の管を体に通すフルコースを希望されるのか、苦痛だけを取り除きながら自然の経過に委ねるナチュラルコースを選択されるのか、せめて自身の意思を表明しておくことが必要であるとお話ししてきました。臨死期のあり方に正解はありません。医療者が決定できることでもなく自身の生死観、人生観に基づいて判断することが重要です。意思表示のない方が病院に入院されたときは当然救命処置から延命処置に移行します。ナチュラルコースの提示はまずありません。結果的に療養型病院や施設には寝たきりの方々が増えていきます。
自身の意思を示していた方々にはできるだけ希望に沿った形でのケアが提供されます。原則的には意思表示のある方では、医療者は現状の説明見通しをお伝えしますがフルコースやナチュラルコースに誘導することしません。利害による判断が介入したりすることを防ぎ、意思を尊重するためです。日本では医療者の中にもまだフルコースにこだわる風潮があることも事実です。医学教育の中で命の痕跡を消さない絶対的価値観を刷り込まれているからと思います。生きる価値死ぬ意味の教育は希薄です。今思うと若いころ私も当時は良かれと思って人の生死の尊厳を軽視した行為に走ったことがありました。患者本人、家族の皆様はきっと優しく許してくださっていたんだろうなと思います。
医療者に間違った判断をさせないためにも、ご自身の意思表示をしておいてください。意思表示は、外来診療の際に当院医師に伝えてください。カルテの表面に赤く内容を記載しています。実はこれが最も確実な方法で、意思表示が生かされる可能性が高いです。他には尊厳死協会の助けを借りて意思表示を残す方法もあります。心変わりをしたらいつでも変更を申し出てください。
東京都健康長寿医療センターから荒木厚医師(前副院長、前糖尿病代謝内分泌科部長)が当院外来を担当することになりました
荒木医師は糖尿病をメインとし、フレイル(高齢者の虚弱状態)の先駆的取り組みを行ってきました。当院では毎週月曜日の午前の外来で診察を開始いたします。内科一般でお悩みの方、最近生活力が落ちてお困りの方はご本人からのご依頼はもちろん、ご家族への対応もいたしますのでご相談ください。
つくしんぼ診療所 文責 鈩裕和
