つくしんぼ通信 令和2年2月号

新型コロナウイルスについて
<概要>
コロナウイルスはヒトに感染するものは一般的に4種類が知られており、咳やくしゃみ、鼻水、微熱など私たちが「風邪」と呼ぶ軽い感染症の原因となっています。ところが時々遺伝子変異をして、致死率の高いウイルスに生まれ変わります。過去には「SARS」(重症急性呼吸器症候群:死亡率10%)や「MARS」(中東呼吸器症候群:死亡率40%台)と高い死亡率のウイルスが登場しました。これらはいまだに感染者の報告があります。さて今回の新型コロナウイルスは恐らく中国武漢市周辺で変異を遂げ、2%以上の死亡率を獲得したものと思われます。今のところに過去のMARSなどとは異なり死亡率もそれほど高くないとの認識になりつつあります。ただ死亡率が低いのは十分な医療資源(医療機関、医師、看護師、検査技師など)が潤沢にあるからで、武漢市のように感染者が溢れかえると死亡率は上がっていくことになります。日本でも東京で患者が数万人などということになれば高い死亡率になるかもしれません。神経質なほどの水際対策がとられるのはこのためです。実際にMARSの際は中東から韓国へ帰国した一人が感染源となり2次感染、3次感染を含め100人以上が死亡しました。
<予防>
今回のウイルスは毒性が低そうなので私たちは体力を温存し、できるだけ人込みを避けるように生活すれば今のところ感染しても大事には至らないと考えられます。もともと体力のない高齢者や免疫力の低い糖尿病の方などはウイルスをもらわないように十分注意しましょう。風邪症状が現れた人はマスクを着用して周りの人に移さないように配慮しましょう。ただ感染を予防するために健康な人が一般に市販されているマスクを着用しても効果がないとされており、マスクに過剰な期待はできません。洗っていない手で目を擦ったり、鼻をいじったりすると手に付着したウイルスが粘膜から侵入するとされていますので流水でのまめな手洗いを心掛けましょう。
今のところ実用的な治療方法は確立されていません。また実用化には数年かかるでしょうからとにかく予防第一で考えてください。マスクが枯渇して手に入りにくくなっています。当院でも業務遂行にぎりぎりの量しか在庫がなく希望者に差し上げることができません。
<受診時の注意事項>
咳、発熱、下痢などの症状で来院される方は必ずマスクを着用しでください。中国渡航されて2週間以内の方、または中国からの帰国者と濃厚な接触をされた後発熱した方は診療所受診の前に保健所の指示を受けることになっています。
電話03-3579-2311板橋保健所にまずご相談ください。
感染しても必ず肺炎になるわけではなく、死に至るわけでもありません。落ち着いて対応してください。